私が9年ほど前に このブログで取り上げた記事
「認知症で電車事故 妻に賠償命令 愛知県大府市 問題点は奥が深い」
報道が一過性のものでなく、その後もクローズアップしてゆくことは非常に有意義なことである。
愛知県大府市の取り組みが、介護福祉に積極的で素晴らしい。
「認知症基本法」に先駆けて、「認知症不安ゼロのまちづくり」「認知症条例」「認知症サポーター」などの大府市の施策はこれからの指標となる。
事故から16年、このようなカタチで残せる施策に結実して 決して無意味にならなかったことが救いであろう。
あとは、これらの施策を如何に拡げて 実効性のあるものにしてゆくかが、私たちの使命なのかもしれない。
<知多 この一年>(上)認知症基本法が成立 大府市の施策にスポット
2023年12月27日 05時05分
認知症の人が尊厳を持って暮らせる社会を目指す「認知症基本法」が6月に成立し、当事者や家族に対する支援により目が向けられたこの1年。全国に先駆けて「認知症不安ゼロのまちづくり」を進めてきた大府市の施策にあらためて注目が集まる機会にもなった。市は長年、市内の国立長寿医療研究センターなどと連携し、予防や当事者らへの支援を進めている。2017年には、認知症に関する施策の推進を目的とした「認知症条例」を全国で初めて制定。認知症の人が事故などで損害賠償請求される場合に備えて市が保険料を肩代わりする制度を導入したり、知識と理解を持つ「認知症サポーター」を2万人以上養成したりと、さまざまな施策を打ち出した。WHO欧州地域事務局でアドバイザーを務めるキラ・フォーチュンさんは「認知症の人たちに必要な支援や介護を提供する努力は称賛に値し、素晴らしい手本になる」と関心を寄せた。中でも、市の認知症サポーターの養成は「認知症について多くの人に理解してもらうきっかけになっている」とみる。「サポーターが増えた現在であれば、父は助かったのかもしれない。認知症の人が街中に出ることを後押しするような支援が広がってほしい」と願う。条例の制定から6年たち、草の根の活動も広がっている。今年は、認知症当事者の実話に基づいた子ども向けの紙芝居を市民ボランティアが中心となって作り、披露した。市高齢障がい支援課の担当者は「さまざまな人に携わってもらうことで、認知症に対する理解の普及啓発につながっている」と実感を込める。「認知症は誰でもなりうる。支援が必要な人に手を差し伸べるためにも偏見や差別を取り除き、(認知症であることを)オープンにしやすいようにしたい」と担当者。「認知症不安ゼロ」への歩みはこれからも続く。 (望月海希)◇2023年が間もなく終わる。知多半島のこの1年を振り返る。
「いまなら父は…」認知症鉄道事故から15年、遺族がみた社会の変化
2023年10月8日 13時00分
「どこ行くの?」
いまなら「おやじ」に、そんなひと声をかけてくれる人がいるかもしれない。
でも、連絡先を記した名札を身につけた認知症の父は、誰からも声をかけられず、駅の改札を抜けて隣駅まで行き、列車にはねられて死亡した。
あの事故から15年余り。
亡くなった男性の長男、高井隆一さん(73)=愛知県大府市=はいま、社会の中で、認知症の人を見守る目が生まれてきた、と感じている。
「一番変わったのは『徘徊(はいかい)』という言葉。ひと昔前は、認知症の人について必ず徘徊という言葉が出ていました」
世界アルツハイマーデーの9月21日、大府市が主催した対談イベントで、高井さんはそう切り出した。
その手には、2016年3月2日付の朝日新聞の1面記事を持つ。見出しには「徘徊事故 家族に責任なし 認知症 JR賠償請求に最高裁判決」とあった。
2007年12月、高井さんの父(当時91)は、介護にあたっていた母がまどろんでいたすきにひとりで外出。列車で移動し、駅のホームから線路に下りてはねられた。
この事故をめぐり、JR東海は、高井さんら介護家族の「監督責任」を問い、振り替え輸送費など720万円の賠償を求めて提訴。二審・名古屋高裁は、同居の母にのみ監督責任を認めて約360万円の賠償を命じたものの、最高裁は16年3月の判決で、高井さんらに賠償責任はない、とした。
歴史的な日の新聞を手に高井さんが強調したかったのは、自身の逆転勝訴ではない。
社会の変化だ。
認知症の人が出歩くことには、目的があると思ってきた。父がひとりで出歩いた先に、かつて勤めていた農協や、生家の跡地があったからだ。事故が起きた日も父はトイレを探しあぐね、線路に下りたようだった。
認知症の人が特別視されない社会へ JRに勝訴・大府の高井さん市長と対談
2023年9月22日 05時05分
「世界アルツハイマーデー」の21日、認知症の父親を列車事故で亡くした大府市在住の高井隆一さん(73)と岡村秀人市長の対談が市役所であった。高井さんは近年、認知症患者や家族への理解が広がっていることを喜びつつ、「認知症の人が特別視されない社会になってほしい」と願いを語った。高井さんの父=当時(91)=は2007年、同市のJR共和駅構内で線路に降り、列車にはねられた。その影響で列車の運行が一時停止したとして、高井さんらはJR東海から損害賠償を請求され、提訴された。一審、二審は会社側の請求が認められたが、最高裁では家族は免責となり逆転勝訴。事故をきっかけに、市は17年、認知症に関する市の責務や施策を定めた条例を全国で初めて制定した。対談では、市の条例制定後の社会の変化や、今後の期待について2人が意見を交わした。岡村市長は、条例制定後、認知症の市民が事故などを起こし、損害賠償を求められる場合に備えて市が保険料を肩代わりする制度を設けたり、「認知症サポーター」の養成を促進したりと支援の輪を広げてきたことを紹介。「理解は進んできたと思うが、まだやるべきことはたくさんある」と語った。高井さんは、「徘徊(はいかい)」という言葉が報道などで使われる機会が減ったことを挙げ「本人は目的があって外出しており、徘徊とは言えない」とその変化を喜んだ。市の施策については「認知症に対する理解を広めてもらいありがたい」と感謝し、「サポーターが増えた今では、父も声をかけてもらい、助かったかもしれない」と話した。 (望月海希)
鉄道会社からの損賠訴訟逆転勝訴の高井さんが講演 認知症患者に「声かけを」
2023年7月14日 05時05分
つしまオレンジサポーターの会が主催。高井さんの父親は二〇〇七年十二月に電車にはねられて亡くなり、高井さんは鉄道会社から七百二十万円の損害賠償訴訟を起こされた。一審、二審は会社側の請求を認めたが、一六年の最高裁判決はこれを覆し、家族に責任はないとして逆転勝訴した。高井さんは「裁判では憤りを感じたこともあった。最高裁の判断は、認知症となっても生まれ育った地域で家族が支えるための礎となる判決になったのでは」と評価した。その後、大府市では、認知症になっても不安がないよう取り組みを強化しているという。認知症のお年寄りが外出する様子を「徘徊(はいかい)」という言葉で表現することに対し、高井さんは「目的もなく歩いているわけではないので、認知症の場合は徘徊という言葉を使うのは避けてほしい」と指摘した。認知症サポーターが千四百万人以上いる現状について、「今なら父は助かったかもしれない。勇気を持って『いい天気ですね。どこかお出かけですか』と声をかけてほしい」と呼びかけた。(吉田幸雄)
愛知県大府市の施策や介護福祉サービスが充実しており 素晴らしい。
私の住む愛知県東海市とは 知多北部広域連合で連携しているはずだけど。
恥ずかしながら 隣街に住んでいながら、大府市の認知症への取り組みや施策を知らなかった。
情弱ではないつもりだが。
せめて 知多北部広域連合(長は東海市長が兼務)が、情報を共有して市民に発信してくれれば、と感じる。
これも 縦割り行政の問題なのか。